文庫本・小野不由美「営繕かるかや怪異譚」
ハローハロー世界。
あけましておめでとうございます。
今年もゆるっと長期スパンでレビューブログを書くので、よろしくお願い申し上げますよっと。
さてさて、年が明けちゃって、さて今年の初めには何を読もうかな?と思って本棚から取り出し、読了したのはこの作品!
文庫本・小野不由美「営繕かるかや怪異譚」
初版は平成30年6月25日。
角川文庫からの出版です!
小野不由美と言えば、数あるホラーをその緻密で精緻な文章力において書き記し、世に送り出している気鋭の作家!だと!個人的に思っている小説家なのですが。
実はミステリー作家として有名な、綾辻行人さんの奥さんなんですよね。
夫婦そろって作家で、文章が緻密とか、どんな会話が普段から繰り広げられているのかひっじょうに気になるところです。うんうん。
言葉回しとか気になる職業病とかないんですかね?
知らんけどね?
小野不由美先生の代表作はゴーストハント、屍鬼、十二国記などありますが、角川文庫から出版されているのは、この営繕かるかや怪異譚と、鬼談百景になります。
では、例の如く、本の背表紙に記されているあらすじを引用したいと思います。
叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子・全く使わない奥座敷の襖が、何度閉めても開いている(「奥庭より」) 。古式蒼然とした武家屋敷。同居する母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」(「屋根裏に」)。ある雨の日、鈴の音とともに袋小路に佇んでいたのは、黒い和服の女。あれも、いない人?(「雨の鈴」)。人気絶頂の著者が存分に腕をふるったじわじわくる恐怖、極上のエンタテインメント小説。解説・宮部みゆき
キターーーーーー!!!
ホラーキターーーーーーー!!!
なにこれ!あらすじだけで怖い!なんか不安になる!!!!
ホラーの巨匠!あの映画にもなった残穢の著者だけある!怪異系強い!怖いね?!!
だがしかし、驚くなかれ。
読んでみると怖いけど、なんか怖くないのだ!!!!
なんで?!
いや読んだ本人が一番驚くところなんですけども、怖くないんだ、後味が。
このお話は、全部何となく、解決されていくのですよ。
それは怪異という意味わからんものとどう付き合い、向き合い、折り合いつけて共同生活するか、みたいな感じで。
丸く収まる。
そう、丸く収まる。
なんだろう、怪異ってあるんだ、って逆に信じ込まされてしまう、すとんと腹落ちしてしまう不思議。
ホラーには間違いないし、怪異モノだし、妖怪とか、九十九怪談とかと系統は似ているんだろうし、ぶっちゃけ本能的に怖いものを扱っている物語。なんですけど。
だってほら、誰だって、信じてない人だって実は幽霊とか、対面したら絶対怖いって思うじゃないですか。
そういう、本能的に怖いと感じる、何か。
その何かにスポットを当てて書いているのは間違いないし、途中までは普通に怖い。
でも、怖いけど、怖くないのだ、と思わせてくれるんですよね。
ハッとさせられる。
考え方を分かりやすく変えてくれる。見方をくるっと変えてくれる。
そういう感覚。
ああ、これって実は、怪異だけに留まる話でもないのかもって、思います。
実は人間関係みたいなもので、自分の中の常識を壊すものを恐れ、排除しようとするのではなくて、折り合いをつけてうまく付き合う。という感じ。
だから、この物語は怖くない。
非常に身近で、よくある悩みで、共感を呼ぶ。
あああああああ、やっぱり小野不由美は凄い!!!!
怪異って非日常的なことじゃないの?!
身近である筈のないものを、身近だと納得させられるイメージ。
この説得力。
尋常じゃない、怪異好き、なのかもしれない……。ごくり。
一話一話が短い短篇集なので、短い時間でさっと読める。
一話30分くらいでしたね、私は。
合計六話なので、3時間くらいで全部読めるのかな?
因みに、怪談専門誌「幽」で「営繕かるかや怪異譚」を連載中らしいので、もしかしたら続刊とか出るのかも?!と思って調べたらその弐が出てるじゃねえか!
買いに行かないと!!!!
待ってて「営繕かるかや怪異譚その弐」!!!!!
次巻に期待も込めて、ボクの評価は星5つ★★★★★!!
こんなにあっさり、こんなにほっこり、こんなに不安で、こんなに怖い。
小野不由美作品に、最大限の声援を。
素晴らしかったです!!!!!!!
この声が届くかなんて知らんけど、個人的にものっそい好きなので、小野不由美作品は随時読んでいきたいと思います。
ではこの辺で、また長い旅に出るぜ。
あばよ!!